【借地トラブル】土地の買い取りをめぐって借地権者と地主の間でトラブルが合った場合の対処法
借地に長年住んでいると、「自分の土地がほしい」とか、「土地の所有権(底地)を手に入れて自由に使いたい」といった考えが出てくるものではないでしょうか?
そんなときに、地主と交渉してスムーズに土地を手に入れられれば問題ありませんが、そうは問屋が卸さないのが底地買い取りの難しいところです。
今回は、底地の買い取りをめぐるトラブルの対処法や、未然に防ぐためのポイントをご紹介します。
底地の買い取りトラブルが起こる原因とは
底地の買い取りに関しては、借地権者と地主の立場の違いや不公平感、借地権をめぐる権利関係の複雑さなど、両者のさまざまな事情が交錯してトラブルの原因が生まれます。
借地権者の権利と地主の権利は相反する
借地人と地主で対立する原因のひとつが、借地権をめぐる立場の違いです。
借地権とは地主が所有している土地を、建物を所有する目的で借り、その建物の所有権が借地権者にある権利のことを指します。
土地の所有権は地主にあるものの、借地権者が何らかの理由で立ち退かないかぎり、地主は自分が所有する土地を自由に使うことができず、地主に正当な事由がない限り、借地権者に出ていってもらうこともできません。
さらに、立場上は借地権者のほうが地主よりも弱いため、借地借家法という法律では借地権者に強い権利を与え保護しています。
この立場の違いが、借地権者と地主の間に不公平感が生まれる要因となっているのです。
土地の買い取り額を巡る問題
借地権によって地主が得られるメリットは、土地(底地)を貸す代わりに地代や増改築時の承諾料、更新料等が受け取れることです。
もちろん借地権者も地代や承諾料を土地賃貸借契約に基づいて支払っているため、両者の間で有効な関係が保たれています。
しかし、借地人が土地を買い取りたいと言ってきた場合は、今後地代等を受け取ることができなくなります。
地主は土地をなるべく高額で売りたいと考えるわけですが、買う側からしてみれば底地の価格は相続税路線価の所有権価格に路線価割合(住宅地で30%から40%)を乗じた価格位ではないかと考え、地主からしてみれば売却する時くらいはせめて50%まではもっていきたいと思っている地主が多く、両者が納得の行く金額を提示できないことがほとんどです。
したがって、価格交渉の折り合いがつかず、急いで買い取りたいのに思うように交渉が進まないということも十分にありえます。
土地の買い取りトラブルを解決した事例
借地権者と地主との間で生じた土地の買い取りトラブルを解決した事例を紹介します。
地主代理人と3年かけて折衝した結果、買い取りに成功したケース
土地の買い取りで地主との交渉が上手く行かなかったため、弁護士に依頼して解決したケースです。
Aさんは父の代からの借地に建てていた家が東日本大震災で傷んだため、建て替えを検討していましたが、借地のまま建て替えるよりも土地を買い取りたいと地主に交渉を試みました。
しかし、地主は売らないと反対。無理やり買い取ることもできず、家の老朽化にも早期に対応したかったため、Aさんは弁護士に相談することに。
弁護士と地主の代理人は3年以上かけて交渉を続けた結果、地主側の説得に成功し、時価の3割を支払って所有権の買い取りに成功しました。
地主から時価の半額で買い取ってほしいと要請を受けたケース
次の事例は地主から借地権者に対して土地の買い取りを要請されたケースです。
Bさんは再建築不可物件の借地の家に住んでおり、地主から時価の半額で土地の買い取りを要請されました。
しかし、借地は道路に接していない無動路地だったために、Bさんは時価(底地の時価)の2~3割が妥当ではないかと考え、地主と交渉するために専門家に相談しました。
専門家は借地の再利用の可否が重要で、無道路地であっても時価5割の提案が高すぎるとは言い切れないとアドバイス。
ただし、一方で生涯その土地に住むのであれば土地の買い取りは好機なので、借地周辺の相場や土地の条件を調査して交渉に臨むことに。
結果的に、調査によって時価の4割程度が妥当と判断され、Bさんと地主の双方納得の上で買取に成功しました。
借地買取トラブルを未然に防ぐための方法
事例で見たように、借地の買い取りをめぐって地主とトラブルに発展すると、交渉に長い時間がかかるだけでなく、長年築き上げてきた両者の信頼関係も悪化してしまいます。
借地を買い取る際に起こりうるトラブルを未然に防ぐためには、どのような対策が有効でしょうか?
売買価格は適正かどうかを確認する
底地を買い取る前に、周辺エリアの土地売買取引の価格や公示価格を調べておけば、地主と底地の価格を交渉する際の有効な判断材料となります。
境界線を明確にしておくこと
土地の境界線が曖昧なまま底地を買い取ると、後になって境界をめぐって何らかのトラブルが生じる可能性があります。
例えば、借地権が存する土地が1筆になっていて、そこに何軒もの借地権者が住んでいる場合、底地を買い取った部分は分筆登記(土地の筆を分ける)が必要になり、分筆登記を行うには隣接している地権者と境界標の位置について「境界確認書」が必要となるため、測量と境界標の設置が必ず必要になります。
境界標が明確でない場合は専門家に依頼するなどして借地権者、地主で境界を確認するなどの対応が必要です。
地主が売りたくないと意思表示をした場合の対処法
いざ地主に底地の買い取りを申し出たものの、交渉が難航した場合にはどのような対処法が有効でしょうか?地主が底地を売りたくないと意思表示をした場合の対処法をご紹介します。
弁護士に相談する
弁護士は交渉のプロです。借地権トラブルに強い弁護士に相談すれば、借地権者の代理人として地主との交渉、借地トラブルの解決に尽力してくれることでしょう。
実際に地主と借地買い取りトラブルに発展した際、弁護士に介入してもらって円満解決を図ったケースは少なくありません。
不動産会社に相談する
借地権の取引実績があり、トラブルをスピーディーに解決できる不動産会社に相談するという方法もあります。借地権に精通した不動産業界者であれば、底地の買い取りに関するアドバイスや、底地の査定もサポートしてくれることでしょう。
ただし、不動産会社にはそれぞれ得意とする分野があるため、サービス内容や過去の実績を確認し、問題に対して真摯に対応してくれる会社選びが重要です。
まとめ
借地権に関するトラブルは、とにかく起こりやすい不動産トラブルのひとつです。
借地権者と地主の当事者同士で交渉すると、必ずと言っていいほどトラブルに発展します。
長年の信頼関係を破綻させないためにも、借地の買取を検討する際は借地権問題に強い不動産会社や弁護士に相談しましょう。
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「借地権の窓口」は、株式会社新青土地コーポレーションが運営しています。東京都杉並区高円寺を拠点に、不動産コンサルタント会社、公認会計士・税理士事務所、司法書士事務所がひとつのオフィスに集結し、お客様の問題解決に全力を尽くしています。