普通借地権と旧借地法適用借地権は、基本的に借地契約は期間が満了しても、借地権の明渡しには正当事由がない限りはそのまま継続されます。しかし地主側に正当事由があり借地契約の更新を拒絶した場合、地主は借地権者が土地を明け渡す代わりに立退料などの金銭的な支払が必要なのか気になりますよね。

1.ここではまず地主の事情による借地契約の更新拒絶がどういう場合にできるのか?

2.その場合、地主は借地権者に対し金銭的な負担が必要であるか、またそれはどれくらいなのかをお伝えしていきます。

更新拒絶の要件(正当事由)

借地契約の期間満了において、建物の存在する限り借地人による借地権更新が認められますが、地主が正当な事由をもって契約の更新を拒否する事も可能です。

しかし契約の更新拒否が認められるかは、地主の側の正当事由が認められなければなりません。

旧借地法(借地借家法平成4年改正前)での借地権解除の正当事由は、以前からの

「土地所有者が自ら土地を使用することを必要とする場合その他正当事由がある場合」

(借地法4条1項但し書き)と、曖昧でしたが、現借地借家法では、曖昧であった正当事由を以下のとおりとし、補完しています。(法6条)

1.地主および借地人が土地の使用を必要とする事情

土地利用の必要性を、自己による使用か否かは問わないで総合的に判断。

2.借地に関する従前の経過

土地賃貸借契約締結時の諸事情、権利金支払の有無、地代などの契約内容、地代の支払状況、用法などの遵守状況、期間などを判断基準とする。

3.土地の利用状況

4.地主が土地の明渡しの条件としてまたは土地の明渡しの条件としてまたは土地の明け渡しと引換えに借地人に対して財産上の給付をする申し出があること

正当事由の補完要項で、他の正当事由にプラスし財産上の給付を明文化。

地主から更新拒絶をする際、正当事由が認められても、殆どの場合金銭的負担は必要となる。

地主の事情で借地契約の解除をしようとする場合、殆どのけケースで金銭的負担が必要となります。

借地権者は生活する場所を失うわけですから、その後の移転にかかる諸費用などを地主側が負担することは往々にしてあります。これが一般的に「立退料」と呼ばれるものです。つまり、立退料とは土地の明け渡しに際して、双方の合意のもとに地主から借地権者へ払われるお金であり、平和的な解決のために有効な手段として考えられています。

立退料は支払い自体が義務化されていないため、金額の相場も特にはありません。路線価に基づいて借地権価格を算出し、一つの基準とする方法もあるようですが、基本的にはケースバイケースです。地主側から提示された金額で借地権者が十分と考えるか、そうでなければ金額の交渉が続くことになります。

トラブル回避のためにも借地権のプロにご相談を

地主との交渉は後々のトラブルを防ぐためにも、お互いの信頼関係を損ねないよう慎重に進めなければなりません。特に金銭の絡む交渉ごとは軽率な対応によって大きな問題に発展する可能性もあります。借地権に関する専門的な知識はもちろん、確実な交渉力も欠かせませんので、プロに依頼するのも一つの手でしょう。

借地権・底地のご相談なら株式会社新青土地コーポレーション