ある日、借地権者から「借地権を買い取ってほしい」と相談された場合、どうしますか?「借地権者から“借地権付き物件を売りたい”と言われたらどうしよう?」でご説明した通り、借地権者からこのような相談を受けたら、ほとんどの場合は「買い取り」が地主にとってのベストな選択だと思います。
しかし、なかには肝心の買い取り資金が不足しているという地主の方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、売買以外で借地権を上手く整理する方法について、アドバイスをしたいと思います。
借地権と底地を一部ずつ等価交換するという選択肢があります
借地権者が借地権を手放したい背景には、「借地権から所有権の物件に変えたい」という理由があるかもしれません。そのため、別の所有権の土地を購入するために、地主に借地権の買い取りを打診してきたというのは考えうる話です。
そうであれば、ぜひ検討していただきたい解決法があります。
借地権と地主の所有する底地の一部を、土地の面積按分にて等価交換するという方法です。これによって、地主と借地権者という関係は無くなり、どちらも完全な所有権として土地を所有することが可能となります。借地権者にも地主にも十分なメリットがあると言えるでしょう。
借地権と底地の等価交換
借地権と底地を等価で交換するとは、借地権の対象となっている土地を面積按分して、交換することで、例えば、100㎡の土地で借地権割合が60%の場合、借地権者が60㎡の土地の所有権(底地)を取得し完全な所有権となり、地主が40㎡の借地権を取得し完全な(借地権が付いていない)所有権を取得します。つまり、60㎡の所有権(底地)と40㎡分の借地権を交換するという事です。
借地権と底地の割合については、一般的には路線価図に記載されている借地権割合(60%や70%等の数字です)を言うことが多く、この割合を基に借地権者と地主とで交換面積について話し合われることが殆どです。しかしこの割合はあくまで税務署が課税のために決めた財産評価上の「目安」でしかありません。
現実的には交換の際(特に借地権者から借地権の売却を申し出てきたケース)、借地権者が借地権を売却する際に本来なら地主に負担する「譲渡承諾料」等の費用相当分を差し引き、50対50で交換するケースも多々あります。実際の交換比率は、借地権者と地主との間で話し合って決まることとなります
等価交換による譲渡所得税の特例
さらに、土地と土地(借地権は土地の種類に含まれます)や建物と建物といった互いに同じ種類の固定資産を交換する(等価交換する)場合は、固定資産の交換の特例が使用出来、「譲渡はなかったもの」とみなされるため譲渡税が発生しません。つまり大きな支出を免れることができるため、資金不足でお困りの地主の方でも、借地権を取り戻せるというわけです。
※注意(下記条件も満たす必要があります)
1.交換により譲渡する資産は、1年以上所有していたものであること。
2.交換により取得する資産は、交換の相手が1年以上所有していたものであり、かつ交換のために取得したものでないこと。
3.交換により取得する資産を、譲渡する資産の交換直前の用途と同じ用途に使用すること。
なお、等価交換など、相手方との交渉が欠かせないケースでは、不動産に関する知識が乏しいと、話を円滑に進められないことも往々にしてあるものです。ある程度はご自身で勉強されておくことも必要ですが、実際の交渉は不動産のプロに任せることをおすすめします。
株式会社新青土地コーポレーションは、借地権者の皆様と地主の方がそれぞれ納得できる円満な方法で、土地に関する様々なお困りごとを解決いたします。ささいなことでも構いません。どうぞ気兼ねなくご相談ください。
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