「契約満了なので借地権を返してほしい」と地主からいわれた借地権者からご相談を受けました。借地権者の方は、借地上に住まいがあるので住み続けたいが、返還するしかないのか悩んでいました。

建物があれば、借地権を返還する必要はありません

借地借家法では、借地上に建物があり、そこで生活している限り借地権は更新できることになっています。そのため借地人さんは地主から借地権の返還を要求されても拒否する権利があります。

新法借地権の定期借地権で契約した場合は?

平成4年8月より施行された定期借地権は安く土地を利用できる半面、借地権の更新や建物買取請求権(借地契約満了時に建物の買取を請求できる権利で、請求した時点で地主の意志に関わらず売買契約が成立します)なども認められていません。そのため、契約満了後は原状回復として更地に戻して返還する義務があります。

ただし、一般的に定期借地権の存続期間は50年以上ですので、平成4年に定期借地権を取得したとしても期限がやってくるのは平成54年、西暦でいえば2042年以降です。また、よほどの理由(正当事由)がない限り、契約を打ち切られることはありませんのでご安心ください。

現在、更新が発生するのは旧法借地権(以下「旧法」)と新法普通借地権と考えてもらえれば大丈夫です。また旧法で契約している場合は、契約内容を変更しない限り更新後も旧法が適用されます。

3つの契約更新の方法

借地権には、「更新請求による更新」「合意更新」「法定更新」の3つの契約更新の方法があります。

◎更新請求による更新

借地権者が地主に更新を求めて契約更新をするものです。契約内容については更新前と同じ条件が適用されます。また、地主が契約更新を拒否する場合は、遅滞なく異論を述べる必要があります。ただし、よほどの理由(正当事由)がなければ契約更新を拒否することはできません。単純に土地を返してほしいから契約しませんといった理由では、契約更新を拒否できないということです。

◎合意更新

更新時に借地権者と地主双方が契約条件(契約期間や地代など)に合意して行う更新です。また、その際に地主は更新料を求めることが一般的になっています。更新料が発生しますが、もっとも一般的な契約更新方法といえるでしょう。

◎法定更新

「更新請求による更新」「合意更新」の有無に関わらず、借地上に建物があってそこに住んでいれば自動的に借地契約が更新されるというものです。この場合は、「更新請求による更新」と同様、現在の契約内容がそのまま継続されます。

正当事由がなければ地主は更新を拒否できません

上記の方法を見てもらえればわかりますが、借地権者は何もしなくても「法定更新」によって借地契約が更新されます。さらに、もし地主が更新を拒否したとしても正当事由が認められなければ契約は継続されるのです。

では、更新を拒否するための正当事由とはどのようなことを指すのでしょうか? こちらでは、過去に正当事由として認められた判例を簡単にご紹介します。

正当事由として認められるケース

長期間にわたって建物が無人で使用されていない

建物の劣化がひどく、倒壊などの恐れがある

借地人さんが不動産を多く所有している

地主さんが不動産を所有しておらず、住む場所がない

正当事由は、借地権者や地主の事情なども踏まえて総合的に判断されるため、これらの条件を満たしていても一概に認められるわけではありません。ご不明な点があれば専門家にご相談することをおすすめします。もちろん「株式会社新青土地コーポレーション」でも承っております。

財産であり、大切な住まいを守るのが借地権の基本です

地主から求められれば借地権の返還に応じなければいけないように感じてしまいます。しかし、借地権者にとって住まいは大切な生活の基盤であり、大きな財産です。だからこそ、借地権を簡単に手放すことはできませんよね。そんな借地権者を守る法律が借地借家法なのです。

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