「一般定期借地権を設定するときに知っておきたいこと」でも説明していますが、定期借地権には「一般定期借地権」「建物譲渡特約付借地権」「事業用定期借地権」の3種類があります。それぞれ条件が異なるため、定期借地権の契約を行う場合はきちんと理解しておきたいものです。ここでは「建物譲渡特約付借地権」について、どのような点に気を付ければよいのかをお伝えいたします。
建物を譲渡する際に支払われる金額はどのように決めるべきですか?
「建物譲渡特約付借地権」とは、借地権が設定されてから30年以上が経過した日に、借地上の建物を地主に譲渡するとともに契約を終了する特約が含まれる借地権のことです。「借地権が設定されてから30年以上が経過した日」は具体的に日付を定める必要はありませんが、必ずこの条件のもとで建物の所有権を移転させなければなりません。その際、地主は借地権者から借地上の建物を譲り受ける代わりに、対価を支払うことになります。
そこで気になるのが、「この対価はどのように算出されるのか」ということでしょう。最初の契約時に具体的な金額を決めておくことも可能ですが、実際に譲り渡す際に事前に定めた金額と時価との間に大きな開きがある場合には、金額の修正を行う必要があります。その手間を考えると、契約を締結する時にはあくまで「時価」としておき、より厳密に決めておく必要があれば、時価の算出方法についてのみ合意形成を図っておくことをおすすめします。
建物譲渡特約付借地権の契約は書面で行う必要がありますか?
建物譲渡特約付借地権の場合、書面で契約書を作成しなくても法律上は問題ありません。しかし契約期間は30年以上にわたるため、実際に建物の譲渡が発生するのは、かなり先の話になります。万が一、その間に第三者に所有権の移転登記が行われてしまう可能性はゼロではないでしょう。そのようなトラブルを回避するためにも、建物譲渡特約にもとづく所有者移転を仮登記しておくことをおすすめします。
仮登記の際には、建物譲渡特約付借地権について確認できる契約書の提出が不可欠です。そのため、面倒がらずに書面で契約書を交わしておいたほうがよいでしょう。
借地権の交渉は専門家に任せることも選択肢に
借地権に関する決まりごとは、ほとんどの場合、地主と借地権者との間で合意形成がなされているのであれば問題ないとすることが多く、状況によっては口頭での取り決めだけで終わってしまうこともあるかもしれません。しかし借地契約は長期にわたる契約であるため、その間に状況が変わって思わぬトラブルに発展してしまうのはよくあることです。契約条件はできる限り時間が経っても書面で確認できる状態にしておくことが望ましいと言えます。
もし地主や借地権者との交渉が上手くいかなければ、専門家に任せることも選択肢の一つです。
「借地権の窓口」は、株式会社新青土地コーポレーションが運営しています。東京都杉並区高円寺を拠点に、不動産コンサルタント会社、公認会計士・税理士事務所、司法書士事務所がひとつのオフィスに集結し、お客様の問題解決に全力を尽くしています。