借地として貸している土地の多い地主の相続で厄介なのが、物納による相続税支払いの問題でしょう。相続税は、相続が発生した10ヶ月以内の申告・納付が決められているため、準備期間が十分にあるわけではありません。実際に「相続税を支払えるだけのお金の目途が立たなくて困っている」という悲痛な叫びを聞くこともしばしばあります。

そのようなお悩みを抱えた方からよくご相談いただくのが、「現金は用意できないから物納で済ませられないでしょうか」ということ。そこで今回は、相続税の支払いを底地で物納することは可能なのかどうか、ご説明したいと思います。

相続税は現金による一括納付が原則

相続税の納付は、現金一括が原則とされています。とは言っても、相続税を一括で支払うだけの経済的余裕がない方が多いのも事実でしょう。現金一括納付が難しい場合、まずは延納手続きをし、延納の目途の立たない部分の補填のために、物納の手続きがあります。

▽現金納付でまかなえない場合の手続き

延納手続き

次のような特定条件を満たすことで相続税納付の延滞が認められます。

延納が認められる条件
・相続税の金額が10万円以上である
・現金一括納付が困難とする正当な理由がある
・納税期限までに延滞申請書を提出する
・担保を提供する

物納手続き

延納での納付も難しいと判断された場合のみ、ようやく物納が認められることになります。つまり、物納は相続税納付の最終手段として考えられているのです。しかし、底地の物納が認められるための審査は厳しく、一般的にはとても困難だと言われています。相続した底地が次のようなケースに該当するとしたら、審査で不利になることが多いため、あらかじめチェックしておきましょう。

物納が難しいとされるケース
・借地権者と揉めごとが起きている
・借地権者が誰かわからない
・土地の境界が不明確である
・抵当権が設定されている
・土地が道路に接していない
・建物が違法建築である
・土地が崖に面しているなど特殊な形状をしている

物納には順位がある。底地の物納には事前の準備が“要”です。……専門家にご相談ください。

相続税支払いの殆どを物納で行わなければならない地主にとって、どの物件を物納に持っていくか、事前に調査し、見極めをつけておくことが重要です。

自宅、貸家の建つ土地、駐車場などの更地、底地、田畑など、物納したい物件を物納できるわけではなく、物納には順位があります。各物件を事前に調査し、どの物件が物納に適しているのか判断します。また物納にしようとする物件の問題点を事前に調査し、物納できるように改善する事も必要です。

税務署は、上記「物納が難しいとされるケース」に記載された事項があると、物納を認めてくれません。駐車場のような更地のような、表面上物納に適していると思われる物件でも、否認されるケースは少なくありません。逆に物納順位の高い物件に問題点がある場合で、底地に問題点がまったくない場合、底地を物納に持っていけるケースも少なくありません。

借地権・底地のご相談を中心に営んでいる当社(株式会社新青土地コーポレーション)では、ワンフロアに公認会計士税理士事務所、司法書士事務所を併設し、「Global Asset Consulting Office」として、皆様の相続(相続対策)に関し、ワンストップで一貫してご相談に乗れる体制を整えています。まずは、ご相談ください。

皆様と一緒に、一番良い相続のあり方を考えてまいります。

底地の事前整理

物納に適さず、底地のように、時代の流れで収益性が悪くなっている不動産を事前に換金しておくことも、相続の対策になります。そもそも底地の物納を選択する前に、初めから相続税を現金一括で支払うことができれば一番スマートですよね。事前に所有する各物件を調査したうえで、物納に適さない底地に関しては、借地権者に底地を購入する意思があるか確認してみるのはいかがでしょうか。

借地権者のなかには、借地の不便さから、底地の買い取りによって土地の所有権を手に入れたいと考えている方は少なくありません。そのため借地権者にそういった要望がないか、事前に相談を持ちかけてみることをおすすめします。もし底地の売却が成立すれば、その売却金で相続税を支払うことができる可能性があります。

逆に、相続前の段階で借地権者が借地権を手放したいと考えているようであれば、こんなことも出来ます。

  • 借地権を借入金で買い戻す。

⇒ 負(マイナス)の財産を造り財産評価を下げる。

  • 借地権者と共同で第三者へ所有権売却する。

⇒ 換金性の乏しい底地の手取が、財産評価以上で売却できれば、相続税支払資金が出来ること。また、劣後資産を優位な資産に変えることも出来ます。

  • 分割の出来る底地であれば、借地権と底地を等価交換し、面積按分した土地を完全な所有権の土地として、借地権者と分ける。

⇒ 底地借地の様々な問題からの開放。換金性の高い物件となること。物納予備群として、優位な資産に変わる。

こういったケースでは不動産の専門知識を持った上での交渉が欠かせません。すべてをご自身で行うのは骨が折れますから、土地の相続税に関するお困りごとがあれば、不動産のプロである株式会社新青土地コーポレーションにご相談ください。