地主と借地権者のトラブルで多いのが地代の未払いです。「地代を払ってくれない」といっても長期間にわたって未払い状態が続いている、遅れてはいるが支払いが行われているなど、さまざまなケースがあるのではないでしょうか? そこで今回は地主を悩ませる、地代の未払いや滞納、遅延などへの対処法をご紹介します。

地代を払ってこその借地権なのです

借地権は、土地を借りている借地権者を手厚く保護している法律ということはご説明してきました。その結果、「一度貸したら永久に土地が帰ってこない」といいわれるほどです。しかし、その権利も地代をしっかりと払っているからこそ、地主と借地権者との信頼関係の上になりたっています。

地代の支払いが滞れば契約を解除できます

地代の不払いが長く続いている場合は、原則的に契約を解除することができます。通常は土地賃借契約書の中に条項として明記されていますが、念のためご確認ください。そして契約解除となった場合、借地権者は建物を撤去して立ち退かなければいけません。

とはいえ、借地権者の生活もありますし、「すぐに立ち退いてください」とはいえませんよね? そこで、まずは借地権者とこまめに連絡を取り、支払ってもらうことが両者にとって最善の策だと思います。

書面で通知を行いましょう

「電話をしても連絡がとれない」「何度、交渉しても支払ってくれない」という場合、「○日までに支払いがない場合は契約を解約します」という督促状を送りましょう。その際、普通郵便ではなく「配達証明付きの内容証明郵便」を利用しましょう。配達証明や内容証明郵便自体は特別なものではありませんが、配達したことや書面の内容が記録に残り、法的措置を行う際の証拠になります。借地権者が、「そんな督促状は受け取っていません」のような状態を防ぐのに非常に有効です。

最終的には裁判になります

驚かれる地主もいらっしゃるかもしれませんが、ここまでしても支払いを行わない借地権者もおり、実際に当社でも多くのそのようなトラブルを扱ってきました。そのような場合は、借地権を解約して立ち退きを求める、裁判を行うなどの方法を検討しなければなりません。法的措置を行うときには専門家の力が必要になるかと思いますので、今回は基本的な手順をご紹介しました。

地代が消える!? 地代の未納は早めに対処しましょう

借地権をはじめとした権利には、一定期間を過ぎると消滅してしまう「消滅時効」という制度があります。ここでいう権利とは、地代を請求する権利です。通常、消滅時効になる期間は原則10年とされています(民法167条)。しかし、家賃や地代などの賃料の支払いを請求する権利は、消滅時効の期間が異なります。その期間は5年となっています。そのため、未払いが続くようならできるだけ早めに対処する必要があります。

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