事業主の方であれば会社の運用資金や事業拡大のため、個人の方であれば教育や医療費のために、銀行などの金融機関から融資を受けることもあるかと思います。そんな資金調達の際に借地権者から当社に、「借地権を担保にして銀行から融資を受けることができますか?」という質問がありました。

借地権は、売買や相続ができる権利なので、担保としても利用できるように感じますよね?

借地権は所有権に比べて融資を受けるのが難しい

旧法借地権/普通借地権は、借地上に建物があるかぎり継続される強い権利です。しかし、その土地は地主のもの。そのため所有権に比べて、融資を受けるのが難しいのが現状です。

◎借地権は抵当権を設定できない

銀行から担保を受ける場合、抵当権の設定がとても重要です。そして日本では、この抵当権を建物と土地、それぞれに設定することができます。抵当権を借地権のある土地に設定できれば、借地権を担保に融資を受けることができますが、地主が承諾するはずがありません。そのため借地権者が抵当権を設定できるのは借地上の建物のみになります。

 

そもそも抵当権って何?

抵当権とは、銀行などから融資を受ける際に不動産を担保に設定したもの。簡単に説明すると、「ローンの支払いが滞った際に銀行側は、担保にした家や土地を競売にかけることができますよ」という権利です。

 

◎借地権は担保として不安な要素が多い

借地権者が地代の支払いを滞納すれば、地主は債務不履行を理由に借地契約を解除し、土地の明け渡しを請求することができます。その際、地主は土地を更地にして返却することを求めることもできます。そうなれば借地権どころか、建物の価値もゼロになってしまいます。金融機関からすれば資金回収できないリスクがあるので、融資にとても慎重になってしまうわけです。

「抵当権のある借地上の建物」なら担保になります

借地権は抵当権を設定できないので、担保にすることはできません。しかし、借地権者の持ち物であり、抵当権の設定ができる建物なら担保になります。また、日本の法律では土地と建物は別々の不動産と規定されていますが、建物の抵当権の効力が借地権まで及ぶという判例もあります。そのため、建物と借地権をセットにすることで融資を受けられる可能性が上がり、建物だけを担保にするよりも評価が高くなることもあります。

融資を受けられるかは金融機関次第です

現実的に考えると、融資を受けられるかはケースバイケースというのが現状です。金融機関によって、「借地上の建物を担保として認めない」「土地所有権に比べて評価額が低くなる」「建物のみで評価する」「地主からの抵当権設定承諾書の提出義務がある」のように条件はさまざま。そこで銀行や借地権に詳しい不動産業者や法律相談所に相談する方がよいでしょう。

株式会社新青土地コーポレーションでは、不動産売買の知識に加え、公認会計士・税理士事務所・司法書士事務所を併設し、連携しながら皆さんからのご相談にお答えしています。