現在、借地権者に土地を貸している地主の方から「次回は契約を更新せずに、自分で土地を使いたいのですが可能でしょうか」といったご相談を受けることがあります。ご事情はケースバイケースかもしれませんが、そもそも「地主自ら土地を使用したいから」という理由で借地権者との契約更新を拒否することは可能なのか、ご説明しましょう。

正当事由がない限り契約拒否は難しいが、不可能ではありません

借地権者の土地の使用状況によほどの問題がなく、また地主側にどうしても土地を使用せざるを得ないと判断される正当な理由がない限り、基本的には契約の拒否はそう簡単にできるものではありません。借地権を更新しないということは、すなわち借地権者が暮らす場所を失うということになるため、地主側の一方的な要望だけでは法的に承認されにくい傾向にあるのです。

しかし借地権者ときちんとした交渉が行われれば、決して不可能ではありません。まずは土地を使用したい理由を明らかにすることです。たとえば「家族や親戚が戻ってくることになり、その土地に住まわせたい」「周辺の開発によって商業地化が進んだため、経済的な土地活用を行いたい」といった理由が考えられるでしょう。交渉を進める際はこれらをきちんと説明したうえで、借地権者の今後の生活をどのように保証するのか具体的に提案することが望ましいと言えます。

近隣に別の土地を所有している場合は、それを代替地として提案するのもよいでしょう。借地権者がお子さんのいるご家庭なら、転校をしなくて済むように取り計らいたいものです。また、引っ越しに伴う費用を負担するといった方法も考えられます。単純に「いつまでに明け渡しをしてほしい」と伝えるだけでは解決は難しいと言わざるを得ないため、「どういった条件なら明け渡しが可能なのか」を交渉することが重要です。

正当事由がある契約更新拒否の場合でも、借地権者には「建物買取請求権」がある

地主側に、自宅として使用するなどの契約更新拒否の正当な事由があり、それが認められる場合でも、一般的に無償で更新をしないということは難しく、借地権者には地主に対し現存する建物を時価で買い取ってもらう「建物買取請求権」があります。(参考:「借地人様からの相談事例│地主から次回の更新はしないと言われた。建物を買い取ってもらうことは出来ますか?」)

因みに、正当事由が立証されない場合で、どうしても借地権を解消したければ、借地権の買戻しの交渉と言うこととなります。

借地権者との交渉は慎重に……専門家に依頼するのがベター

繰り返しになりますが、原則として正当事由がない限りは、地主側からの借地契約の更新拒否は難しいため、借地権者が納得する解決法を導き出せるかがカギになります。「今回で契約満了となり、更新はしません」と突っぱねても借地権者は納得しないでしょうし、最悪の場合は大きなトラブルに発展してしまうかもしれません。そうならないためにも、借地権者との交渉は慎重に行う必要があります。相手が誠実な借地権者であるほど、きちんと納得してもらうための解決策を準備しておきましょう。お互いの信頼関係を維持したまま解決に導くには、専門家の意見を取り入れることもおすすめします。

株式会社新青土地コーポレーションは、長きにわたり借地権者・地主のどちらからも多数のご相談を承り、解決してきた実績があります。中立的な立場から双方が納得できる解決策をご提案いたしますので、交渉ごとでお困りの際は当社にお任せください。

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