とある借地権者から、「賃借契約書を見たら5年前に契約期間が終わっていた。このまま借地を使っていていいのだろうか?」というご相談を受けたことがあります。

法定更新で契約は継続しているのでご安心を

「地主様から更新時に借地権の返還を要求されたけど、断ることはできますか?」でご説明しましたが、借地権には自動で契約が更新される「法定更新」というものがあります。法定更新とは、更新手続きなどを行わなくても借地契約が自動で更新されることです。また、契約内容は更新前のまま引き継がれていますのでご安心ください。

ただし、地代の支払は続けていなければなりません。

地主が変わったタイミングは要注意です

底地の相続や売却によって地主が変わった場合は注意が必要です。それまでは口約束だけで契約を更新していたとしても、新しい地主が契約書を確認して「契約期間が切れているので更新料を支払ってほしい」「土地を明け渡してほしい」と要求する可能性もあるからです。

しかし、新しい地主は従前の契約を引き継ぐものですので、法廷更新になっている事実は、変えられるものではありません。

更新時のトラブルを避けるには

法的には、契約期間満了後に地主から更新料を提示されても、満了後の地代を地主が受け取っているのであれば、法廷更新は成立しています。

しかし地主とトラブルになっている借地権を購入する方はまずいないこと、居たとしても相当に安くしないと売却できないこと。また、将来建物を建替えようとしても地主が協力してくれない、といったことになります。

更新トラブルを避けるためには、契約期間が切れていることに気づいたら早めに地主に相談し、新しい借地契約を取り交わしておくことが最善策です。

また新しく契約する際、借地権者の中には、「新法借地権で契約しないとダメなのかな?」と考える方もいらっしゃいます。しかし、旧法借地権で契約している場合は、更新時に旧法のまま契約を継続することができます。

もし土地の明け渡しを要求されたら

あまり借地権に詳しくない地主は、「5年前に契約満了しているから土地を明け渡してほしい」という方もいます。しかし、契約期限が終わっていても借地上に建物があり、そこに住み続けているのであれば法定更新によって自動的に借地契約は継続しています。これは法律で定められた権利ですので、しっかりと主張しましょう。ただし、地代は払い続けていなければなりません。万が一地主が地代を受け取らないのなら、法務局に地代を供託するという手もあります。

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