一般的に権利金とは、土地や建物の賃貸借契約を結ぶ際の、借主から貸主への礼金と同じように、明確なものではありません。

しかし、借地権における権利金の場合は、すこし意味合いが違ってきます。

借地権の権利金は、対価に近い!!

本来借地権とは、建物を所有するために土地を借りる権利(債権)ですが、財産評価もされ、現在は、他の不動産と同様に物権性の高いものとなっていて、地主が借地権として土地を貸した場合、地主の権利が相当に低くなってしまいます。相続や贈与税の計算の基となる国税庁の定める財産評価(路線価格)では、更地価格に対し、借地権が30%から都心の商業地では90%となっています。

そこで、昨今では借地権を新たに設定する場合には、その対価として権利金の授受が、ごく普通に行われています。

新規で借地権を設定する場合の権利金

そもそも権利金は、法律で支払いが定められているわけではありません。そのため、借地権者が土地を借りる際に必ずしも払わなくてはならないわけではないのです。ただし、地主と借地権者のあいだで約束されたのなら、よほど高額でない限りは有効とされています。双方が納得できる常識的な価格を設定することが望ましいでしょう。

 

権利金の一般的な相場としては、借地権の価格の3~7割(都心部は高め、商業地は高め)に設定されることが多いようです。

借地権の価格を知るには、国土交通省による「路線価」が参考になります。路線価図には土地の価値、土地における借地権の割合が記載されているため、だいだいの相場がつかめると思います。

権利金を授受しない場合の留意点(親族間、地主の経営する会社が借地権者となる場合)

権利金の授受は法律で定められているわけではありませんので、必ずしも支払う必要はなく、地主と借地権者との話し合いでの取り決めで原則大丈夫です。

しかし、土地の貸し借りが同族であったり、借地権者が地主を役員とする法人である場合には、注意が必要です。相続税や贈与税減額のための借地権の設定と税務上見られてしまい、借地権者に贈与税がかかる場合が出てきます。

新たな借地権の設定の際で、権利金の授受のない場合、権利金の額により税務上「相応な地代の額」というものを考えなければならず、親族間、地主の経営する会社が借地権者となる場合には、権利金と地代のバランスが要になり、専門家のアドバイスを受けることを薦めます。

既存の借地権の場合の権利金

既存の借地権(主に旧借地法適用の借地)における権利金とは何でしょうか?

現在の借地権は大昔に設定されたものが多く、中には50年~70年前に「空いている土地を貸してあげるからそこに建物を建てて住んでいいよ。」と言ったように、借地権設定時には権利金のようなものの授受も無く、ただ地代だけを授受して現在に至るものも少なくありません。そもそも権利金に関する法律がありませんでしたので、契約当事権利金のあった借地権も、権利金の授受の無かった借地権も、現在では同じように評価されていますので、当初の権利金は、冒頭に記載した礼金のようなものであったのだと思われます。

既存の借地権では、借地権を借地権者が売却する場合の売買代金が、土地を借りる権利の売買であって、売買代金が権利金と言うような性格のものともいえます。

余談

従前からの借地権(旧法適用)の地主は、時代が経ち法制化が進む中で、いつの間にか、良かれと思って権利金もとらずに土地を貸した土地の価値が、完全な所有権に対し非常に少ないものとなってしまったこと、にもかかわらず地代の値上げもなかなか出来るものでない背景があります。

こういった目線で見ると、更新時や建替え、名義変更、条件変更の際、地主から承諾料の提示があるのも理解できるところではないでしょうか。もちろん、法外な金額は論外ですが、、

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